寝るときの姿勢には、人によってさまざまなクセがあり、中には「絶対うつぶせじゃないと寝られない」「あお向け以外だとなかなか寝付けない」という人もいます。ところで、仰向けとうつぶせでは、どちらがよりよい睡眠姿勢なのでしょうか?
うつぶせ寝とあおむけ寝の比較
呼吸の深さ
寝ているときは横隔膜を動かして呼吸をする「腹式呼吸」をしていますが、腹式呼吸をしているときの肺は、体の横や背中側に大きく膨らみますが、うつぶせ寝では背中は圧迫されないので、腹式呼吸での肺の動きを妨げることがなく、深い呼吸ができるといわれています。
しかし、口の周りがある程度ふさがれている、胸が圧迫されているため、呼吸が浅くなるという説もあります。
一方で、胸が圧迫されず、顔もふさがれないあお向け寝は、うつぶせ寝に比べると呼吸が楽で快眠を得られるといわれています。
しかし、あお向けで寝ると舌の付け根が喉の中に沈んでしまい、睡眠時無呼吸症候群やいびきの原因となることもあるため、眠りが浅くなるとも言われています。
首、肩、腰への負担
うつ伏せで寝ると、顔を枕にうずめた状態では呼吸ができないため、顔を右か左のどちらかに向けるか、顎の下に枕などを置いて首を伸ばした姿勢で寝ることになります。
この状態では、首がねじれる、背骨が反ってしまうなど、頸椎や腰に大きな負担がかかるため、腰痛や肩こりが悪化するといわれています。
一方、あお向け寝では首、肩、背中をまっすぐに支えることができるため、うつぶせ寝に比べると負担は少なくなります。
ただし、枕の高さやマットレスの硬さによっては首が曲がる、反る、腰が沈むなど、負担が大きくなることがなります。
実は、姿勢はそれほど重要ではないという説も
うつぶせ寝とあお向け寝、どちらで寝るほうがよいかは長年の議論になっており、どちらにも根強い支持者がいます。
しかし、眠りに入るときはうつぶせで寝ていた人も、起きたときはあお向けになっているなど、寝ている間に寝返りを打つので、寝るときの姿勢はそれほど重要ではないという説もあります。
どちらの姿勢がより優れているかには賛否があり、また単純に「うつぶせ」「あお向け」といってもさまざまなバリエーションがあるため、一概にどちらが良いとはいえないようです。
まとめ
姿勢がそれほど重要ではないという説では、寝返りを打つという理由のほかに、うつぶせ寝でもあおむけ寝でも、自分の体格に合っていない寝具では快適に眠ることができないという理由もあげられています。
睡眠姿勢は一日で急に変えることはできません。また、姿勢を変えたことで寝つきが悪くなる、睡眠の質が落ちてしまうといったリスクがあります。
一方、寝具の変更は手軽に行える方法ですので、睡眠の質を改善したいときは、姿勢よりも寝具の変更を検討したほうがよいかもしれません。