急に立ち上がった時に「クラッ」とする立ちくらみは、比較的多くの人が経験したことがある「めまい」の一種です。
めまいは頭痛同様、さまざまな病気のサインとして現れる症状であり、特に心配のないめまいと、重大な病気の症状として現れるめまいの二通りがあります。
めまいの原因
めまいには、大きく分けて「前庭性のめまい」と「非前庭性のめまい」があります。
前庭性のめまいは、体のバランスをとる働きを持つ「前庭」とう部分に関わる、内耳、前庭神経、前庭と繋がっている脳幹や小脳などに異常がある場合に起こるめまいで、非前庭性のめまいは、前庭をは直接関係のない頸椎や循環器系の異常によって起こるめまいです。
また、体の機能に問題はなくても、ストレスや疲労、生活習慣の乱れ、心理的な原因によって起こる、「前庭性のめまい」と「非前庭性のめまい」のどちらにも当てはまらないめまいもあります。
めまいを起こす重大な病気
小脳出血
小脳出血は、脳の中で血管が破れて血液が出てきてしまう脳内出血のうち、小脳で出血した脳内出血のことです。
大脳など、脳内出血の多くはめまいを起こしませんが、小脳出血はめまいを自覚することが多いと言われており、めまいのほかに激しい頭痛と嘔吐、いつものように歩けない、立つことができないなどの運動障害、両目が同時に左右どちらか一方に寄ってしまい、反対側に動かせなくなる「共同偏視」が起こります。
高血圧や高齢者に多く、脳動静脈奇形、海綿状血管奇形、もやもや病、抗血小板剤や抗凝固剤を飲んでいる人も注意が必要な病気です。
脳梗塞
日本人死亡原因の第4位である脳梗塞は、頭の中の血管が詰まることで酸素とエネルギーが脳に供給されなくなり、脳の障害が起こる病気で、小脳で脳梗塞が起こった場合は、体のバランスが取れなくなって転倒、ふらつき、めまいを起こすことがあります。
また、ふらつきやめまいだけではなく、頭痛や吐き気、体の感覚が片方だけ鈍い、言葉が出にくい、物が飲み込みにくいといった症状が同時に起こった場合は、1時間以内に収まる短時間の症状であっても、脳梗塞の前兆である「一過性脳虚血発作(TIA)」の可能性があります。
TIA発症後90日以内に脳梗塞を起こした人のうち、約半数が48時間以内に脳梗塞を起こしたという統計があるため、短時間で収まったからと放置せず、速やかに医師の診断を受けましょう。
高血圧、糖尿病、高脂血症の人は脳梗塞のリスクが高いため、注意が必要です。
不整脈
急に立ち上がった時に「クラッ」する立ちくらみは、血圧が一時的に下がって脳が貧血を起こす「脳貧血」によるものです。
脳貧血によるめまいは、疲労やストレスによって起こる「心配しなくてもよいめまい」であることが多いのですが、めまいとともに頭痛、視野障害、手足や全身のしびれなどが起こった場合や、失神、意識障害、けいれんを起こした場合は、不整脈が原因で起こる脳貧血の可能性があります。
不整脈は、通常1分間あたり60~100回のペースで規則正しく拍動している脈が、異常に早くなる、遅くなる、リズムが整わないといった状態で、血液を送る機能をもつ心臓に異常が起こっているサインです。
不整脈そのもので命を落とすことはありませんが、不整脈を放置しておくと心筋梗塞、心筋症といった心疾患や、心臓で出来た血栓が脳の血管をふさぐ脳梗塞をおこすことがあるため、不整脈によるめまいの可能性があるときは、直ちに病院を受診したほうがよいでしょう。
まとめ
激しい頭痛、手足のしびれなどの運動・感覚障害、言葉がもつれるといった言語障害はといった症状がめまいとともに現れたときは、脳に異常がある時のサインである可能性が高いため、高血圧などの既往症がなくてもなるべく早く病院を受診しましょう。
また、難聴や耳鳴り、めまいが頻繁に起こる場合も、突発性難聴やメニエール病などの可能性があるため、出来るだけ早めの受診をおすすめします。