睡眠時間が短くても活動的に日々を過ごすことができる「ショートスリーパー」は、一日を有効に使いたい、忙しくて自分の時間が取れないという人にとって憧れの体質です。
訓練次第でショートスリーパーになれるという人もいますが、実際にショートスリーパーになることはできるのでしょうか?また、ショートスリーパーであることのメリットは何でしょうか。
ショートスリーパーとは…
単に「睡眠時間が短い人」ではない
人間の睡眠時間は概ね、6時間から9時間程度ですが、ショートスリーパーと言われる人は睡眠時間が5時間以下で、1時間から3時間程度しか睡眠しない人もいます。
これだけだと、単に睡眠時間が短い人を指す言葉のようですが、本来のショートスリーパーは「長い睡眠を必要としない人」のことであって、仕事などのために睡眠時間が取れない、短い睡眠で生活している人のことではありません。
ショートスリーパーは、短い睡眠時間でも活発に活動ができますが、単に睡眠時間が短い人は睡眠不足で体や頭が働かない、体調がすぐれないといった問題が起こります。
ショートスリーパーは「遺伝子」で決まる
カリフォルニア大学の研究によると、ショートスリーパーは共通して「DEC2」という遺伝子を持っており、このDEC2遺伝子を持っている人は体を休ませるための「レム睡眠」が短く、脳を休ませるための「ノンレム睡眠」がとても深いということが分かっています。
遺伝子による体質であるため、DEC2遺伝子を持っている人は特別な訓練などをしなくても、ショートスリーパーになることができ、短い睡眠時間でも健康被害や集中力の低下などを伴わず、快適に生活することができます。
ショートスリーパーになることはできる?
DEC2遺伝子を持っていない人が、DEC2遺伝子由来の体質であるショートスリーパーのように短い睡眠時間でも生活できるかどうかは、その人の体質や睡眠の質などによって違います。
例えば、睡眠時間が8時間必要な人が睡眠時間を4時間に減らした場合、体に大きな負担がかかり心筋梗塞や自律神経の乱れといった健康被害のリスクが高くなります。
睡眠時間がもともと短めである人は、睡眠のリズムを整えた上で、少しずつ睡眠時間を減らしていけば、短い睡眠時間でも生活できるようになるかもしれません。
とはいえ、体質的なショートスリーパーではないため、意識していないだけで睡眠不足状態になっており、体に負担がかかっているという可能性もあります。
ショートスリーパーのメリット
最大のメリットは「活動時間が多い」こと
ショートスリーパーの最大のメリットは、何といっても「活動時間が長い」ということです。
人間は人生の1/3を寝て過ごすといわれていますが、睡眠時間が4時間で済むショートスリーパーの場合、人生のうち寝て過ごす時間は1/6だけです。
睡眠時間の差をすべて勉強時間に置き換えると、睡眠時間4時間の受験生と睡眠時間6時間の受験生では一日で2時間も勉強時間に差がつき、100日では200時間という大きな差になります。
睡眠時間が短くてもパフォーマンスが落ちない
さらに、ショートスリーパーは長い睡眠時間を必要としていない体質であるため、一般的な体質の人が睡眠時間を無理に削った場合に起こる、集中力の低下や体調不良を伴いません。
睡眠不足になると、その日一日のパフォーマンスが下がってしまうだけではなく、瞬間的に意識が眠ってしまう「マイクロスリープ」を起こすことによって事故や怪我の原因になります。また、慢性的な睡眠不足が続くと病気のリスクが高まるといったデメリットも生じます。
まとめ
先天的な体質であるショートスリーパーになることは不可能ですが、睡眠の質を向上し、生活習慣を整えることで、ショートスリーパーではない人でも睡眠時間を短縮することはできます。
睡眠時間が少ないと活動できる時間が増え、人生をより充実させることができますが、睡眠時間を減らしたことで健康上の問題が起こる場合は、無理に睡眠時間を減らそうとしないでください。
一日に使える時間が増えたとしても、集中力が落ちた状態では仕事の効率は下がり、一生の有効時間が増えたとしても、寿命が短くなってしまえば元も子もありません。
自分の体質にあった睡眠時間と質の良い睡眠が、健やかで充実した人生を送る上で、何よりも重要です。