卵巣機能が低下し生理不順や不正出血が起こり、やがて生理が止まって閉経する更年期は、一般的に「妊娠しない・できない」と考えられています。
実際、更年期に差し掛かる45歳以上で妊娠を望む人は不妊治療を行わななくては子宝に恵まれません。
しかし、厚生労働省のデータによると年代別の中絶率は10代に次いで40~50代が高いというデータもあり、更年期とはいえ妊娠する可能性はあるということが分かります。
更年期の妊娠
閉経前の妊娠
更年期は自然妊娠しにくくなるのは事実ですが、閉経前で生理間隔が長くなっていても排卵があるかぎり妊娠する可能性はあります。
特に、ホルモンの状態がよく更年期の症状が軽い人は比較的妊娠しやすいといわれています。
生理の回数が減り行為の回数自体も減ることから「妊娠しないだろう」と油断し、避妊しなかった妊娠というケースが多く、更年期で生理が来なくなっただけだと思っていたら、実は妊娠していたということもあるようです。
更年期に妊娠すると子宮内膜が薄い状態での妊娠になりやすいこと、卵子の状態が悪いことから流産しやすいだけではなく異常妊娠になりやすく、母体に負担がかかってしまいます。
また、出産を選んだとしても「高齢出産」となってリスクが高いため、更年期に入っても閉経前は「妊娠する」と考え、妊娠を望んでいないならきちんと避妊することが大切です。
閉経後の妊娠
生理が完全に止まった閉経後は、基本的に妊娠しません。
ただし、閉経をしてもごくごくまれに排卵が起こる可能性があると話す医師もいますので「絶対に妊娠しない」とは言い切れず、限りなく可能性は低いが妊娠する可能性はあるとも言えます。
とはいえ、一般的な確率で考えると避妊の必要がないといえます。
ただし、正式に「閉経」と確定するのは生理が1年以上止まった場合をさします。
そのため、生理が10カ月止っている場合はまだ閉経していないため、自然妊娠する可能性はゼロではありません。
また、生理が止まっている原因が閉経によるものではなく、病的な理由など閉経以外にある場合は、仮に1年以上生理が止まっているとしても閉経していなければ妊娠する可能性があります。
なお、閉経後は自然妊娠ができなくなりますが、体外受精であれば妊娠可能です。
更年期でも避妊を
「更年期に入ったら妊娠しない」と決めつけるのではなく、閉経前であれば「妊娠するもの」として避妊することをおすすめします。
また、長期間生理が止まっていても「閉経した」と自己判断してはいけません。仮に10カ月生理が来ていなかったとしても、生理の停止期間が1年未満の場合は避妊が必要です。
1年以上生理が止まり閉経したと考えられる場合でも、閉経後半年や1年程度は念のために避妊を行ってもよいかもしれません。
まとめ
更年期は生理や排卵がいつ来るかわからない時期ですので、生理周期から排卵日を計算する「荻野式」などの避妊法は使うことができません。
また、生理が止まったので排卵していないだろうと思っていたら思い出したように生理が始まったということもあり、思わぬ妊娠をしてしまうことがあります。
もし妊娠したら中絶を行うか出産するかを選ばなくてはならず、中絶を選んだ場合は心身に大きな傷を受けることになり、出産を選んだ場合は高齢出産のリスクと向き合わなくてはなりません。
さらに、産後の育児にかかる体力や経済的な負担も大きく、人生設計が大きく変化することになります。
更年期とはいえ、妊娠を望んでいない場合はしっかり避妊を行ってください。