慢性的な倦怠感や体調不良、不眠などに悩み、自律神経失調症を疑って病院を受診したところ、うつ病だと診断された、その逆に、うつ病だと思ったら自律神経失調症だったという話がときどきあります。
うつ病と自律神経失調症は症状などがとても似ているため、区別がつきにくい病気です。
今回は、自律神経失調症とうつ病の共通点と違いをご紹介します。
自律神経失調症とうつ病の共通点と違い
どちらもストレスが原因
自律神経失調症とうつ病の主な共通点は、病気の原因が「ストレス」であるということです。
しかし、ストレスには体に負担がかかる「身体的ストレス」と、心に負担がかかる「精神的ストレス」の2種類があり、自律神経失調症は「慢性疲労」「睡眠不足」「食生活の乱れ」といった身体的ストレスが主な原因となるのに対し、うつ病は「身近な人との死別」「職場での人間関係」「モラルハラスメント」など、精神的なストレスが主な原因となる点に違いがあります。
同じ症状が出る
自律神経失調症とうつ病では以下の症状が共通して現れます。
- 体の症状
疲れがとれない、息苦しさを感じる、微熱、頭痛、めまい、ふらつき、肩こり、体温調節機能低下、眠れない、食欲がない、胃腸の調子が悪化
- 心の症状
イライラする、やる気がでない、気分が落ち込む、感情をコントロールできない
しかし、自律神経失調症とうつ病では、症状の現れ方に少し違いがあります。
自律神経失調症は、自律神経の乱れが元になって起こる病気ですので、体の症状が最初に現れ、悪化すると心の症状が現れるということがほとんどです。
症状が軽いと心の症状は現れないことも多いのが特徴です。
一方、うつ病は精神的なストレスが原因の病気ですので、心の症状が強く現れます。
精神面での不調が体に影響することで不眠や倦怠感、食欲不振に繋がりますが、自律神経失調症に多い「めまい」や「体温調節機能低下」といった症状は現れないことが多いようです。
ただし、うつ病の中には心の症状はがほとんどなく、体の症状がメインとなる「仮面うつ」の場合、自律神経失調症と区別が付きにくくなります。
また、症状の出方には個人差があり、自律神経失調症でも心の症状が強く出る場合もあります。
うつ病は悪化すると命に関わる
自律神経失調症とうつ病の最大の違いは、うつ病は悪化すると「希死念慮」「自殺企図」といった「死にたい」という気持ちがつよくなり、実行してしまう事もあるということです。
もちろん、自律神経失調症も「めまい」や「ふらつき」がひどくなると交通事故などを起こす可能性があって危険ですが、うつ病の場合は「能動的に」命を危険にさらしてしまいます。
まとめ
さまざまなストレスに溢れている現代社会では、どんな人も常に「身体的ストレス」と「精神的ストレス」を抱えています。
そのため、自律神経失調症やうつ病の症状が出ても、自分ではどちらにかかっているかを判断することができません。
とはいえ、どちらの病気でも放置すれば悪化し、ときには命に関わることもあるので、自律神経失調症やうつ病のような症状があるときは、できるだけ早く医師の診察を受けてください。